はじめに
営業チームの日々の業務には、顧客情報の管理、案件の進捗管理、見積書の作成、日報・週報の作成など、表計算ソフトを活用するシーンが数多くあります。そんな中、「ExcelとGoogleスプレッドシート、どちらを使うべきか？」という悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、特に“関数”の違いにフォーカスし、営業現場における実務での使い分け方を解説していきます。目的や業務シーンに応じた最適な選択のヒントになるはずです。
- ExcelとGoogleスプレッドシートの関数の違いが実務視点で理解できる。
- 営業業務のシーン別での使い分け方（案件管理、見積書作成など）がわかる。
- 営業でよく使う関数のランキング（Excel・スプレッドシート別）がわかる。
- 見積書テンプレートにおける関数の具体的な役割と使い方がわかる。
営業チームが表計算ソフトに求める機能とは？
営業チームが表計算ソフトに求める主な要素は以下の通りです：
- 外出先からのデータアクセスのしやすさ
- 顧客データや案件情報の集計・フィルタリング機能
- チームでのリアルタイムな情報共有
- 日報・週報の自動化とテンプレート管理
- 見積書・売上資料の整形と印刷対応
これらの業務を効率よくこなすためには、関数の柔軟性と実行速度がカギになります。
Excelとスプレッドシートの関数の違いを比較
以下は、関数に関する主要な違いを実務的な視点でまとめた比較表です：
| 比較項目 | Excel | Google スプレッドシート |
|---|---|---|
| LOOKUP系 | VLOOKUP / HLOOKUP / XLOOKUP | VLOOKUP / HLOOKUP / XLOOKUP（対応） |
| 配列関数 | FILTER / SORTBY（365） | FILTER / SORT / ARRAYFORMULA（柔軟） |
| 正規表現 | ×（VBAやPowerQuery依存） | ○ REGEXMATCH / EXTRACT など標準搭載 |
| Web連携 | × | ○ IMPORTXML / GOOGLEFINANCE など豊富 |
| 自動翻訳 | × | ○ GOOGLETRANSLATE あり |
| スピル機能 | ○（365以降） | ◎（標準で対応） |
| 実行速度 | ◎ 大量データも高速 | △ 大規模データでは遅延あり |
Googleスプレッドシートはクラウドならではの連携機能に優れ、Web上の情報を取得したり、API的に扱ったりするのが得意です。一方、Excelはローカル環境での大規模処理や、高度な数式を必要とする分析業務に向いています。
営業業務のシーン別！関数活用の使い分け
| 業務シーン | おすすめ | 利用関数・理由 |
| 案件管理・進捗共有 | Googleスプレッドシート | QUERY, FILTER によるリアルタイム抽出 |
| 見積書・提出資料作成 | Excel | SUMIFS, IF, VLOOKUPで精密な計算と書式制御 |
| 顧客情報の条件検索 | 両方可 | Excel: XLOOKUP, スプレッドシート: FILTER + ARRAYFORMULA |
| 外部データとの連携 | Googleスプレッドシート | IMPORTXML, GOOGLEFINANCE などの連携関数 |
| 複雑な売上予測 | Excel | LET, LAMBDAなど複雑な論理構築に対応 |
営業でよく使う関数ベスト10（Excel & スプレッドシート）
Googleスプレッドシート
QUERY：SQL感覚で集計可能ARRAYFORMULA：複数行を一括処理IMPORTXML：外部サイトからデータ取得REGEXMATCH：文字列パターンの条件判定GOOGLETRANSLATE：メール文などの翻訳に活用
Excel
XLOOKUP：縦横両方に対応した柔軟な検索LET：計算結果の再利用で高速化LAMBDA：関数の自作が可能SUMIFS：複数条件の合計集計TEXTJOIN：顧客リストの自動整形
まとめ｜営業に最適なのはどっち？
Googleスプレッドシートは、共有や連携を重視する営業チームにとって非常に便利なツールです。特に外出先からスマホでアクセスしたり、チーム全体でリアルタイムに案件情報を更新したりするケースでは大きな威力を発揮します。
一方、Excelは精密な見積書作成や、分析に特化した売上予測資料の作成において優れた機能を持っています。特にMicrosoft 365版では高度な関数が利用でき、業務に合わせた柔軟な設計が可能です。
結論：日常業務はスプレッドシート、精密業務はExcelと使い分けるハイブリッド運用がおすすめ！
📄 Excel見積書テンプレートに使われる代表的な関数とその役割
以下は、営業でよく使われる見積書テンプレートに含まれる主な関数の一覧と、その役割・使い方の例です。
| 使用関数 | 目的・役割 | 具体的な使い方・備考 |
|---|---|---|
VLOOKUP / XLOOKUP | 商品コードや品番から商品名・単価を検索 | 商品マスタから商品情報を自動反映させる |
IF | 条件に応じた値の分岐表示 | 例：割引適用がある場合だけ割引率を反映 |
SUM | 金額や数量の合計 | 各商品の小計合計、合計金額算出など |
SUBTOTAL | 表の途中に合計を入れるときに便利 | フィルターをかけた場合でも正しい合計が出る |
ROUND / ROUNDUP / ROUNDDOWN | 金額の端数処理 | 小数点の調整、税込金額の処理など |
IFERROR | 関数エラー時の見た目を整える | 例：未入力時のVLOOKUPエラーを空白にする |
TEXT | 金額や日付の表示形式を整える | 見積日の日付フォーマットを「2025年9月11日」に整形 |
TODAY | 見積書の作成日を自動挿入 | 「有効期限：=TODAY()+30」のように使う |
🧾 見積書の構成例と関数の挿入ポイント（簡易レイアウト）
| 商品コード | 商品名 | 単価 | 数量 | 小計 | |————|————|——–|——|———-| | A001 | =XLOOKUP(A2,マスタ!A:A,マスタ!B:B,””) | =XLOOKUP(A2,マスタ!A:A,マスタ!C:C,0) | 5 | =C2*D2 | | A002 | … | … | 3 | … | | | | | | | | 消費税（10%） | | | | =ROUND(SUM(E2:E10)*0.1,0) | | 合計金額 | | | | =SUM(E2:E10)+セル(税) |実務に役立つポイント
- 商品マスタと連携したVLOOKUP/XLOOKUPの活用で入力の手間を削減
- IF関数とIFERROR関数の組み合わせで空欄時の見た目を整える
- 見積書の有効期限を自動計算（例：=TODAY()+30）
- 税計算にROUND関数を使うことで、端数処理のトラブルを防止
ExcelとGoogleスプレッドシートの関数の違いと使い分け【まとめ】
- 営業業務では顧客管理、進捗管理、見積書作成、日報・週報などに表計算ソフトが必須。
- ExcelとGoogleスプレッドシートの大きな違いは「関数の柔軟性」「処理速度」「Web連携」にある。
- Excelは大量データ処理や精密な分析に強く、高度な関数も利用可能。
- Googleスプレッドシートはクラウド特有の「共有」「Web連携」「リアルタイム編集」に優れている。
- LOOKUP系関数は両方で対応可能だが、スプレッドシートはFILTER＋ARRAYFORMULAで柔軟。
- 正規表現やIMPORTXMLなど、スプレッドシートはWeb活用向け関数が標準搭載されている。
- Excelの365版ではLETやLAMBDAなど、複雑なロジック構築に対応できる。
- 案件管理・進捗共有にはスプレッドシートのQUERYやFILTERが便利。
- 見積書や提出資料作成にはExcelのSUMIFSや書式制御が有効。
- 外部データ連携はスプレッドシート（GOOGLEFINANCE, IMPORTXMLなど）が得意。
- 複雑な売上予測や分析にはExcelが適している。
- 営業チームがよく使う関数TOP5（スプレッドシート）はQUERY, ARRAYFORMULA, IMPORTXML, REGEXMATCH, GOOGLETRANSLATE。
- 営業チームがよく使う関数TOP5（Excel）はXLOOKUP, LET, LAMBDA, SUMIFS, TEXTJOIN。
- 見積書作成にはVLOOKUP/XLOOKUP, IF, SUM, ROUND, IFERROR, TODAYなどが役立つ。
- 結論として、日常業務はスプレッドシート、精密業務はExcelというハイブリッド運用がおすすめ。
コメント